米粉パンや菓子を製造する「FARM BAKE KYOTO(ファーム・ベイク・キョウト)」(宮津市須津)を運営するFOOD PUNK(フードパンク)が9月18日、米粉菓子ブランド「ノウカノムスメ」の販売を始めた。第1弾商品は、米粉のビスキュイにきな粉と世屋みそを使った2層のクリームを挟んだビスキュイサンド。
米粉ビスキュイに、きな粉と世屋みその2層のクリームを挟んだ「ノウカノムスメ」(提供=FOOD PUNK)
同社は2025年、工場を大阪府吹田市から宮津市へ移し、社長の永濱愛子さんも移住。ホテルの朝食向けなど業務用パンの製造を軸にしながら、丹後産の米を使ったパンや菓子作りを掲げてきた。今回の商品開発も、米のおいしさを広め、米の価値を高めたいという思いから始まった。
業務用が中心で、地元の人と関わる機会が少なかったこともあり、まず地元の人に愛される菓子を目指した。日常のお茶菓子としても、ギフトや土産物としても使え、会話のきっかけになるものを考えたという。永濱さんは「実家や誰かの家で、真ん中に置かれた菓子から『地元の米とみそを使っている』と会話が生まれる。観光客だけでなく、まず地元の方に愛してもらえる商品にしたかった」と振り返る。
ビスキュイの生地は、大阪のフランス菓子店「トゥシェドゥボワ」(大阪府大阪市)のシェフ・狩野智さんが考案した。小麦粉を米粉に置き換えることで、フランス菓子の軽い口溶けに、せんべいを思わせる米の風味が加わったという。原料米には、与謝野町と宮津市で農業を営む浪江農園(与謝野町)が契約栽培する米粉用品種「ミズホチカラ」を使う。
開発は2025年9月ごろに始まり、完成まで約1年を要した。米粉の生地は湿気を吸いやすく、割れやすい。一般的な洋菓子に使うバターやチョコレートのクリームは米の風味になじみにくく、開発担当の片山さんがキャラメルやナッツなど約100通りを試した。きな粉を軸に、宮津市産の世屋みそを加えたところ、コクと塩味が生まれた。永濱さんは「お茶にもコーヒーにも合い、素材の味が分かるものにしたかった。世屋みそを入れると記憶に残る丹後らしい味になった」と話す。
同社は浪江農園に、パンや菓子への加工に適したミズホチカラの栽培を依頼。2025年の試験栽培で丹後の気候でも育つことを確かめ、今年は作付面積を前年の4倍に増やした。米は粉にして使うため粒の大小で分けず、契約した田んぼで収穫した分を買い取る。永濱さんは「農家さんの顔が見え、『うちで作った米の菓子』と渡す人にも伝わるものになった」と話す。
商品名の「ノウカノムスメ」は、農家が育てた米を食べて育った人は、農家にとって子どものような存在という考えから名付けた。キャッチコピーは「生まれた時から、お米の子」。パッケージには、米を食べても余るほどの豊作を表す縁起物「福良雀」を描いた。永濱さんは「難しいことを考えず、食べて『やっぱり米はおいしい』と思い出してもらえたら」と話す。
同社の工場直売店と宮津道の駅「まごころ市」(宮津市)を中心に、一部の近隣ホテルや旅館でも販売する。永濱さんによると、発売から5日間で約700箱を販売したという。
今後は季節限定の味を加え、百貨店でのポップアップ出店も検討する。永濱さんは「地元で愛してもらえることが、自信を持って外へ出ていくことにつながる。商品を知って丹後に来てもらう流れをつくりたい」と意気込む。
工場直売店の営業時間は10時~17時。火曜定休。