古い道具や器、リメーク品などを扱う「まるり商店」(京丹後市弥栄町黒部)が7月18日にオープンした。当日はオープニングセレモニーを行い、地域住民や関係者ら約25人がリボンカットで開店を祝った。
店主は、奈良県五條市出身で京丹後市地域おこし協力隊の高木つららさん。2024年2月に着任し、丹後暮らし探求舎を拠点に空き家の相談対応や利活用、情報発信、イベント企画などに取り組んできた。
地域おこし協力隊として空き家に関わる中で、長く人が住んでいなかった家と出合い、暮らしながら片付けを進めた。日々の仕事や生活と並行する大変さを感じ、空き家の片付けイベント「巡る市」を企画。参加者約30人と片付けや分別を行い、気に入ったものを持ち帰ってもらったが、それでも残るものは多かった。最終処分場へ運ぶ中で、「まだ使えるのに」という思いを抱き、ものと持ち主のストーリーも含めて次の人へ渡す場をつくりたいと考えるようになった。京丹後のものを京丹後で使う循環の輪を広げたいという思いを同店に込める。
店名の「まる」は循環の輪を表し、その中にある「り」は「Reuse(リユース)」「Remake(リメーク)」「Respect(リスペクト)」など、あらゆる「Re」の文化の始まりを意味する。看板などのデザインは、久美浜町のデザイナー余根田直樹さんが手がけた。
まるり商店が掲げるのは「10のまるり」。まだ使えるものを次の人へつなげる「リユース」、壊れたものを直す「リペア」、資源を再び生かす「リサイクル」、手を加えて作り替える「リメーク」などに加え、大切にされてきたものや時間への敬意、ものと人、人と地域をつなぎ直すこと、買い物やものの使い方を考え直すことも大切にする。
店舗として使う建物は、かつて「田宮商店」というよろず屋だった。大正時代に創業し、たばこや茶、塩、食品、日用品などを扱っていたという。創業者の田宮清蔵さんにちなんで「田清(でんせい)」の愛称で親しまれ、地域のよりどころでもあった。建物について、高木さんは「日常的に使われていた思い出の場所を使わせてもらって、また人が集まれる場所にできて良かった。この場所にいると、意外と地域の人が歩いていることも分かった。声をかけてくれることも多くありがたい」と話す。
オープニングセレモニーでは、参加者が長いリボンを片手に持ち、持参したはさみなどで一斉にリボンカットを行った。店内では音楽グループ「MuLo」がディズニーソングや昭和歌謡、夏の曲などを演奏。「喫茶ハネンド」(久美浜町)がアイスコーヒーを提供し、「黒部豆腐this way」(弥栄町)がおからドーナツやソフトクリーム、手作りシロップジュースを販売した。店内には食器や日用品、古い道具などが並び、高木さんの母親が手がける「まるりきもの」でリメークしたオリジナルの「もんぺ」も販売した。
参加者からは「良かった」「昭和を感じる時間だった」「つららさんのあり余る人の魅力が、この場所を作った。この場所はもう大丈夫」などの声が聞かれた。
高木さんは「オープン前に友人が書いたエッセー本を並べて開店の準備を終えたとき、ふと冷静になって涙が出てきた。自分が想像していた形ができたことがうれしかった」と振り返る。
次回の営業は8月11日15時~19時。以降の営業は月1回で、インスタグラムで知らせる。