京丹後のラーメン店「麺倶楽亭(めんくらてい)」(京丹後市峰山町新町)が6月17日、飯尾醸造(宮津市)の「純米富士酢」を使った限定メニュー「冷やし中華」の提供を始めた。
店主の馬場隆太さんは、酢が苦手だったため、冷やし中華も好きではなかったという。それでも、「夏だから冷やし中華もあった方がいいか」と考え、地元の酢を探し始めた。そのときに出合ったのが飯尾醸造だった。1893(明治26)年創業の飯尾醸造は100年以上続く老舗メーカーで、米からもろみを作り、そのもろみから酢を造る昔ながらの製法を続けている。現在は、農薬を使わずに米を育て、その米を使って醸造している。馬場さんは「メニュー開発のとき、試飲させてもらって驚いた。苦手なツンとする感じがなく、まろやかで本当においしい」と振り返る。
冷やし中華の具は、キュウリとチャーシューと卵。「麺とタレにこだわっている。味わってほしいので、限りなくシンプルにした。冷やし中華が苦手な人が作る冷やし中華はどんなものか、楽しんでもらえたら」と馬場さん。
同店は1988(平成元)年にオープン。現在の店舗で、馬場さんの父がハンバーガー店と鉄板焼き店を経営していた。定食店に業態を変え、中華そばを提供し始めたところ麺類の魅力に気づき、うどんやラーメンなど麺を中心とした店に転換。その後、10年ほど前にラーメン専門店にしたという。馬場さんは「ラーメンは型がなく、何でもできて、自分のオリジナリティーを出せる。一種格闘技のようなもので面白い」と話す。
同店のこだわりは、地元のものを中心に扱ったラーメンを作ること。ラーメンのスープは「坂長商店」(網野町)のしょうゆ、麺は「麺屋棣鄂(ていがく)」(京都市)のものを使用。「情熱ネギラーメン」の九条ねぎは「やさい魂研究所」(大宮町)から仕入れている。
元々は地元のものを扱っていなかったが、しょうゆラーメンを作る際、坂長商店に出合ったことをきっかけに広がったという。冬には米農家「野木源」のみそラーメン、春には「handsfarm」(弥栄町)の米麺を使ったメニューなど、今では多くのコラボメニューを企画・販売している。
「普段、農家はお客さまの顔が見えない。目の前でおいしいと食べている姿を見るとうれしそう。それをみて僕もうれしくなる」と馬場さん。コラボした農家やメーカーのファンも訪れ、SNSでの発信を通じて客足も伸びたという。
馬場さんは「いつも自分の食べたいものを作る。だからこそ、どうすればおいしくなるかを追究し続けられる。今年3月、京丹後が『美食都市アワード』を受賞した。今後もラーメンを通して、丹後の食の良さを伝えていきたい」と意気込む。
価格は968円で、9月中旬まで提供。営業時間は11時~20時。