海ごみを使ったアートを制作するイベントが、2月24日「かぶと山虹の家」(京丹後市久美浜町)で開催された。主催は地元の環境保護に取り組む任意団体「Satoumi Design Kyoto」。
主催した「Satoumi Design Kyoto」代表の岸さん(左)とアーティストの余根田さん(右)
イベントには、「環境×アート」をテーマに活動するアーティストの余根田直樹さんが協力した。余根田さんは以前から、漂着したブイで看板を制作する「buoy sign project(ブイサインプロジェクト)」や、コーヒーの残りかすを使った絵画「コーヒーアート」を手がけている。
当日は、高校生や地元の人など約15人が参加。鳥取県からの参加者もいた。事前に拾った海ごみを洗い、参加者が3枚のベニヤ板に貼っていき、全て合わせると一つの絵画のようになった。
2023年5月より、丹後緑風高校(網野町)の生徒と協力し準備を進めてきたという。軽トラック1台分の海ごみを集め、洗浄、乾かした後、色分けをした。「色分けしただけできれいに見える」と岸さん。絵のモチーフである「ウミガメ」も生徒と一緒に考えた。下絵を担当した余根田さんは「京丹後には浦島伝説が残っている。そして長寿の町。環境破壊の影響を大きく受けているウミガメは今回のテーマにピッタリだった。」と話す。
「Satoumi Design Kyoto」は2022年に設立。海の京都エリアを中心に、環境保全のためのイベント企画や持続可能なツーリズムの開発などに取り組んでいる。代表の岸あやかさんは「海ごみがあるのは事実。隠す観光ではなく、観光客にも見てもらい、一緒に悩める関係になれるようなツーリズムができたら」と話す。
参加した高校生からは、「身近に落ちているごみで作品ができるのは、すごくいいこと。イベントを通じて会ったことがない人と交流できた」「拾っているときは想像がつかなかった。できるのかな?と思っていたが、できて良かった。楽しかった」などの声が聞かれた。丹後緑風高校の教師は「生徒が海ごみに触れて、学校外の人と関われる場があるのはすごくいい。いろいろな可能性を感じてもらったのでは」と振り返る。
イベント終了後、岸さんは「楽しんで参加してくれたのがうれしかった。海ごみの問題は深刻。ネガティブな気持ちになることが多いが、今回のイベントはポジティブな雰囲気で、ツーリズムの新しい形になる可能性が見えた」と話す。「できるかどうかとても不安だった。出来上がって安心した。作って楽しめる、飾って楽しめるもの。みんなで作ると予想外のことが起こる。それも楽しかった」と余根田さん。
完成した作品は、市内の高校に展示する予定。「将来的には駅や市の施設など、いろいろな場所に飾ってもらえたら」と岸さん。