伊根町の「hakuzu coffee stand(ハクズコーヒースタンド)」(与謝郡伊根町)が11月9日で1周年を迎えた。
店主は京都市出身の樋口啄也さん。オープンとともに伊根町に移住し、京都市内でデザイン業を営みながら2拠点生活を送る。
樋口さんは5~6年前から、景色の写真を撮りに伊根町を訪れていた。ダンス仲間で友人の寺谷僚介さんが伊根町に移住したのを機に、当時勉強していた観光デザインの知識を生かして、伊根町の地域課題を解決できないかと考えた。京都市内でコーヒーの焙煎(ばいせん)所を営む親戚が高齢で、「継いでくれないか」と相談されていたこともきっかけとなり、同店開業に至った。
店名の「hakuzu」は、樋口さんのカメラ業やデザイン業の屋号「白図」に由来する。「コミュニケーションで色付けていく。いろいろな人にここで関わってもらいたい。みんなでこの場所を作っていきたい」という思いを込めた。
同店では、親戚の焙煎所で焙煎したコーヒー豆を毎週仕入れているほか、抹茶や牛乳など食材などは樋口さんが選んでいる。ドリンクは550円~700円程度で提供。「この場所でやらせてもらっているので、クオリティーにこだわるのは当たり前」と樋口さん。最近では、こだわりを聞きつけた観光客が遠方から来店することもあるほか、地域の中にも毎日来店する人がいるという。
席数は、店内に数人、舟屋に10人ほど。店内は、コンクリートの内装に金継ぎをイメージした装飾を施す。テイクアウトがメインだが、店の向かいにある舟屋がイートインスペースとなっている。舟屋は「Re:ine」を運営する寺谷さんが所有しており、ドリンクを持ち込んで海を眺めながらゆっくりと過ごすことができる。舟屋からそのまま海上タクシーに乗ることも可能。「利用者の国籍を問わず、唯一無二の体験ができる」と樋口さんは話す。
樋口さんは「店の価値を上げることは、伊根町の価値を上げること。今後も、今やっていることを継続し、いろいろな人が気楽に来られる場所であり続けたい」と話し、「地域課題解決にも貢献したい」と意気込む
営業時間は10時~17時。水曜・木曜定休。