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地元で愛される伝統芸能「宮津おどり」 振興会が祇園の舞台に出演

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 京都府北部、天橋立のある宮津市に伝わる「宮津おどり」。その継承に携わる「宮津おどり振興会」が2月8日、民族芸能大会「京のかがやき2025」に出演する。会場は祇園甲部歌舞練場(京都市東山区)。

市民に愛される「宮津おどり」

 「宮津おどり」とは、古くから宮津に伝わる「宮津節」「宮津盆おどり松坂」「あいやえおどり」の3曲を組み合わせたものの総称。日本遺産『300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊』の構成文化財の一つとして認定を受けており、宮津おどり振興会は宮津おどりを保存継承、普及発展させる目的で、現在、31人が活動している。

宮津おどり振興会のメンバー

 宮津おどりの中でも特に「宮津節」は地域住民に盆踊りの曲として親しまれ、毎年8月16日に開催される「灯篭(とうろう)流し花火大会」の後には、老若男女問わず輪になり盆踊りを楽しむ様子が見られる。

 宮津節には「丹後の宮津でピンと出した」という歌詞があり、地域住民にはよく知られるフレーズである。宮津おどりは、江戸時代に丹後の産業を支えた「北前船(きたまえぶね)」が宮津にもたらした繁栄を歌にしたと言われているが、「ピンと出した」が何を指す言葉なのかは記録に残っておらず、正確なことは分からないという。

祇園の舞台「京のかがやき」に向けて

 「京のかがやき」は京都府内の各地域で活動する伝統芸能団体が一堂に会し、その芸能を披露する大会。昨年から開催し、今年で2回目。昨年は約600人が参加し、京都府内でも規模の大きい大会となる。今年は5団体が参加。同会の参加も今年で2回目。

 今年のテーマは「夢」。同会もテーマに沿った演目を準備しており、「あいやえおどり」を含む丹後の伝統舞踊3曲を披露する予定。

 練習は21時を過ぎても続き、体育館には三味線の音色と踊り手の掛け声が響く。踊り手は本番の衣装に合わせて着物を着ており、小物の扱い方や袖の振り方など、細かな部分まで確認している。

 同会のメンバーで昨年夏に入会した清水真実さんは「緊張している。宮津おどりの名に恥じぬよう、ステージを通して思いを届けられるように頑張りたい」と話す。

 指導を務めるのは、日本舞踊の「花柳流(はなやぎりゅう)」で「花柳芳若那(はなやぎよしわかな)」の芸名を持つ神田由里子さん。宮津おどりの要である三味線と踊りの両方を指導できるのは、現在、神田さんのみだという。神田さんは「私たちは今この瞬間にある一つ一つの舞台を生きている。とにかくお客さまに分かりやすい表現がしたい。真剣に取り組みたい」と意気込む。

 同会の運営をサポートする「海の京都DMO」文化観光サポーターの河田恵美さんは「もっと宮津おどりが注目されてほしい。若い人に興味を持って来てもらい、継続できる体制を作りたい」と意気込む。

 大会は18時30分~19時40分。チケットは4,000円~。事前購入制で、購入方法はウェブサイトで確認できる。

記者ノート

 宮津おどりという伝統芸能を通して、年齢の違うメンバーが和気あいあいと交流をしている様子が印象的だった。地域では盆踊りとして親しまれている一方、それを舞台芸術として高い完成度で披露する宮津おどり振興会。宮津おどりが住民にとって誇れる文化となっている理由であるように感じた。この大会を通して、宮津おどりが、地域内外を問わず多くの人の目に留まることを期待したい。

京のかがやき2025
https://kyonokagayaki-2025.jp/

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