
神谷太刀宮(かみたにたちのみや)神社(京丹後市久美浜町)で6月21日、神谷磐座(かみたにいわくら)への「夏至参り」が行われた。
磐座とは、古来神が宿るとされる巨大な石や岩のこと。同神社は丹波道主命(タニワミチヌシノミコト)、八千矛神(ヤチホコノカミ)、天神玉命(アマノカミタマノミコト)を祭っており、丹波道主命を祭っているのは近畿で同神社が唯一。同磐座は山の麓に巨石が密集しており、それらを合わせて一つの磐座としている。巨石には北に向かって2カ所のスリットがあり、1カ所はスリットの間を通ることができる。巨石は人の手によって運ばれてきたという説もあり、人々は磐座の中央にあるヒールストーンと呼ばれる石に光が当たる様子を見て、季節や日の長さを判断していたのではないかと考えられている。
斎行は午前4時45分から行われた。始めに祝詞を奏上する修祓(しゅばつ)、次に大祓詞(おおはらえのことば)の奏上を経て、最後に拝礼の流れで行われた。斎行の後は、神主から参拝者に福銭が配られた。
今回の斎行では、磐座の東側に位置するかぶと山から太陽が昇り、ヒールストーンに光が差し込む様子を見ようと約70人が参拝した。光が差し込むのは午前5時10分ごろからの約1分間。磐座保存会会長の谷口潔さんは「夏至の前後数日のみ磐座に光が差すことが知られたのは20年ほど前。2015(平成27)年に磐座に関する立て看板を立ててから、地元の人が参拝に来てくれるようになった」と話す。
谷口さんは「久美浜一区には約600世帯がある。地域に密着した神社なので、地域の安寧、安定のためにみんなが参拝する。今回は、今までで一番多い参拝者の数だった」と振り返る。